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鳥取県鳥取市気高町 奥田家具リニューアルプラン

年明け早々。年末から降り続いた雪が心配になり、実家の屋根の雪下ろしをしていたときだった。新しくしたばかりの iPhone5に着信音。あわててスコップを置き、スキーパンツのポケットから iPhoneを出すと、鳥取のオクダさんからだ!「北の住まい」時代に三度ほどお店にもお伺いして、ショップのディスプレイのお手伝いや新しい製品のご説明などさせて頂いた際には、一緒に温泉に入ったり、食事をご馳走になり、大変お世話になった方なのです。
懐かしい、やわらかなお話口に、彼の優しい顔が浮かんできた。お話を伺ってみると、「自宅兼店舗の改修を考えているのですが、その外観デザインを田中さんにお願いできないですか?」とのこと。僕は、グラフィックが専門で、店舗デザインはお仕事としては受けたことがないが、ロゴマークやお店のネーミング、サインや全体のカラーリング、各部の素材選び。というところから入ってゆくと、お手伝いできるかもしれない、、、。その旨をお伝えし、「ちょっと考えてみましょうか。」とお答えした。どうして?こんな遠方の僕に依頼してくたんだろう? 後になって伺うと、昔(10年ほど前)、僕が手書きで描いた、茶色の紙に白文字の「SALE」のPOPを、いまでも毎年お使い頂いてるとのこと。そういう方なんです、オクダさんって!

北の住まいで勉強させて頂いたことや、北欧で撮ってきた街並、住宅の写真をPCと脳裏で遡りながら、「オクダさんらしい。洗練された。おしゃれで。でも、敷居は高くなく、ふっと入ってみたくなるような。しかも、お客様にとって “秘密にしたいお気に入りのお店” になるような、、、!」。コンセプトは「親しみやすいけど、質の高いインテリアショップ」。ガリバリューム鋼を本体に使うことは、すでに決まっているそうなので、そのカラーリングとその他のバランス。慣れないパースをいくつか描いて「こんな感じにしてみたい。」が出来上がった。

ポイントとしては、「素材として木を使うこと」「白を基調色に」「搬出口の屋根を三角屋根に」「入り口のドアをウッドドアに」「大きなサッシ部分を壁にして小窓に」「ガーデンフェンスとパーゴラを作って、外でお茶が楽しめるように」。最後の項目は予算の関係で、後々、D.I.Y.で作ってゆくことになったが、それ以外はほぼ提案通り受け入れて頂いた。ドアの形状や色は、相当な試行錯誤があったが、最終的にこの形が正解だったとおもう。色も、当初はスウェーディッシュレッドや木肌が見える茶系を想定していたが、木肌が見えない「濃紺」をお勧めした。スウェーデンで見てきた、白い壁、ブルーグレーの窓枠、濃紺のウッドドア、真鍮のドアノブ。清潔感あるオクダさんのお店にぴったりだと想い、かなり強引に、お勧めしてしまった。(オクダさんも数日悩んだらしい。スミマセン)
お店の名前は、「fran naturen」スウェーデン語で「自然からの、、、」。家具のオクダを改め、「奥田家具」。fran naturenはやわらかくナチュラルな書体に。奥田家具は、自信と格調をもちながら、控えめに。

プランはお互いにコンセンサスがとれたものの、これからが大変だ!なにせ!現場は鳥取市気高町。出雲神話の一つ伝説、因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)の舞台になった場所。田中は現場に行かずにカラーリングとディテールを調整してゆくのだ。オクダさんが業者さんと打合せをして、素材サンプル、カラーサンプルは全て、鳥取のオクダさんと北海道の田中、双方に送ってもらうようお願いして頂いた。足場がかかり、工事が始まった現場写真がメールで送られてきた。要所要所でオクダさんからの、現場進捗状況をメールと写真、電話で確認しながら、細部を相談の上決めてゆくという作業。塗装色も塗料メーカーの何番ではなくて、何番の白色にほんの少しブルーと黄と赤とスミをいれて、青みがかったうす〜いブルーグレーで、、、現場でサンプルに塗って乾いてから、太陽光の下であらゆる角度と光の中で撮った写真を送ってもらい、さらに吟味する。というやり方。繰り返すやり取りに根気よく対応して頂いた業者さんには大変感謝しています。ありがとうございました。オクダさんと約束したのは、「あきらめないこと。ま〜いいかな?にはしないこと。」

特にドアの塗装色の調色には、「この色では浅い。木肌を見せないで、もっと深く、黒を強く、三度塗りで、お送りした写真に近く!」と。フロントのサイン「奥田家具」も、アイアンで質素に格調高く。PH3とのバランスもデザイン画に合わせるのではなくて、現場でPH3の光の範囲にあわせて。軒天はこの色で、破風はこの色、ローラー仕上げは何番。進むにつれ、細かな部分が決めきれていない。その都度、職人さんのてを止めたこと申し訳ないです。

サインが付き、PH3の下の「奥田家具」もいいバランスで納まり、最後に塗装されたドアが入った写真がメールで届いた。よくぞここまで根気よく、お店づくりと職人さんたちと、僕につきあってくれましたね。本当にいいお店になったと思います。こんなチャンスを与えて頂いたオクダさん。そして、「北の住まい設計社」で「よいものをつくること。」を教えてくださったことに深く感謝します。

末尾になりましたが、工事途中で、旭川の僕の自宅に足を運んでいただいた、オクダさんのご両親。わざわざありがとうございました。おいしいお酒、その後にもお父様が釣ってらしたお魚、お友達のお魚、わかめ、ほんとうに美味しく頂きました。ごちそうさま。



2013.6.27 papasdesign-tanaka

完成後写真(オクダさん撮)上の写真と重複しているものもあります。

リニューアル前の写真(オクダさん撮)